Xilinx ISE 14.7 最終版のインストールと書き込み

電子回路
FPGA/CPLD
Published

2025-03-23

Modified

2025-03-23

研究室にはXilinxの古いCPLD、XC9572XLを結構在庫しており、これを使ってたまにデジタル位相比較器を作ったりします。先日も作ろうとしたところ、Windows 11では対応する開発環境ISEが動かないことが分かりました。色々調べてみると、ISEの最終版であるv14.7を仮想環境を使って動かせということらしいです。

というわけで、仮想環境のインストールからCPLDへの書き込みまでひと通りできるようにしたので、まとめておきます。

全体の流れ

  1. 開発環境(ISE)の準備
    1. Oracle VirtualBoxのインストール
    2. ISE 14.7 VM for windows 10のインストール
    3. 仮想環境とのファイル共有設定
  2. Verilog HDLファイル(***.v)の作成
  3. 制約ファイル(***.ufc)の作成
  4. 基板との接続
  5. プログラム

動作確認環境

動作確認環境
OS Windows 11 24H2
CPU AMD Ryzen 7 8700F
CPLD XC9572XL
開発環境 ISE 14.7 VM
書き込みケーブル UW-USB-II-G

開発環境(ISE)の準備

ISEの開発は執筆次点で既に終了しており、最終版(v14.7)を使用することになります。Windows 10以降のOSに対応するため、仮想環境内でISEを実行する仕様となっています。

Oracle VirtualBoxのインストール

仮想環境を構築するために、あらかじめOracle VirtualBoxをインストールします。

Windows用のインストーラをダウンロードし、インストールします。

ISE 14.7 VM for windows 10のインストール

VirtualBoxをインストールしてから、ISE 14.7 VM for windows 10をインストールします。VirtualBoxがインストールされていないと、失敗するので注意して下さい。XilinxのISEアーカイブページから、ISE最終版のインストーラをダウンロードします。

ダウンロードにはXilinx (AMD)アカウントへのログインが必要になります。あらかじめ作成しておいて下さい。

ISEのダウンロードサイト

ISEのインストーラはかなり大きなZIPファイルとなっています。ダウンロードしたZIPファイルを展開し、xsetup.exeを実行してインストールします。

ISEのインストール

インストール完了後、VirtualBoxを起動すると、ISE 14.7の仮想環境が既に設定された状態になっています。ISE 14.7を選択して起動すると、仮想環境でLinuxが起動します。LinuxデスクトップにあるProject NavigatorアイコンからISEを起動できます。

VirtualBoxマネージャー

Linuxデスクトップ

仮想環境とのファイル共有設定

VirtualBoxの仮想環境にファイルを転送する方法には、以下の2通りあります。

  • クリップボードを共有する
  • 共有フォルダを設定する

ところが、クリップボードを使う方法はなぜかうまくいきませんでした。なので、ここでは共有フォルダを設定する方法を説明します。

  1. VirturalBoxを立ち上げ、ISE 14.7を選択
  2. 設定 > 共有フォルダーを選択

VirturalBox共有フォルダ設定
  1. 右側の共有フォルダー追加ボタンをクリックし、ホスト側のフォルダのパス、フォルダ名を記入
  2. オプションは自動マウントにチェック

これで、仮想環境を立ち上げるとLinuxデスクトップ上に共有フォルダアイコンが現れます。

新規プロジェクトの作成

  1. LinuxデスクトップでISEを起動し、メニューバーのFile > New Projectを選択します。

  2. プロジェクト名、プロジェクトを作成するディレクトリ(デフォルトは自動設定)、ソースコードの種類を選択します。ソースコードのタイプはHDLを選択します。

  3. Project Settingsでデバイス情報などを入力します。ここでは使用するCPLDと言語に合わせて

    • Family: XC9500XL CPLDs
    • Device: XC9572XL
    • Package: PC44
    • Speed: -10
    • Preferred Language: Verilog

    と設定しました。他はデフォルトのままにしました。

  4. Project Summaryが表示されるので、確認してFinishを押します。

Verilog HDLファイル***.vの作成

  1. ISE Project NavigatorのHierarchyウィンドウで右クリックし、Nwe Sourceを選択します。Verilog Moduleを選んでファイル名を入力してNextを押します。

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  1. 各portの設定画面になるので、Port名、input/outputの方向などを入力してNextを押します。後で変更できるので、ここでは何も記入しなくても大丈夫です。
  2. Verilog HDLファイルが作られるので、コードを編集します。

制約ファイル***.ufcの作成

  1. ISE Project NavigatorのHierarchyウィンドウで右クリックし、Nwe Sourceを選択します。Implementation Constraints Fileを選んでファイル名を入力してNextを押します。
  2. 確認画面が出るので、Finishを選択すると制約ファイル***.ufcが作られます。これを編集して入出力を設定します1

基板との接続

ここでは純正のプログラマケーブル(UW-USB-II-G)を使用する場合について説明します。

UW-USB-II-G

以下のように接続します。接続するには、基板側の電源をONにする必要があります。

UW-USB-II-G 接続基板側JTAG
VREF VCC
TCK TCK
HALT 接続なし
TDO TDO
TDI TDI
TMS TMS
GND GND

内蔵メモリへの書き込み

コンパイル

ISE Project NavigatorのProcessesウィンドウのImplement Designで右クリックし、Runを実行します。

問題がなければ、TranslateFitGenerate Programming Fileに緑チェックが付きます。

生成されたJEDファイルの書き込み

  1. プログラマケーブルと基板を接続し、基板側の電源をONにします。
  2. ISE Project NavigatorのProcessesウィンドウのConfigure Target Deviceをダブルクリックすると、書き込み用アプリのiMPACTが起動します。
  3. iMPACT Flowsウィンドウの中のBoundary Scanをダブルクリックします。現れたBoundary Scanウィンドウ内で右クリックし、Initialize Chainを選択すると、接続されたCPLDが表示されます。このとき、そのままConfigurationファイルをアサインするか聞かれるので、Yesを選択し、***.jedファイルを選んでOpenを押します。次のダイアログも、そのままOKを押します。
  4. Identify Succeededと表示されたら認識OKです。Boundary Scan内で右クリックしProgramを選択すると、書き込みが開始されます。
  5. Program Succeededと表示されたら書き込み完了です。

iMPACT

参考資料

Footnotes

  1. このバージョンのISEはPlanAheadには対応しておらず、GUIを使った制約ファイル(配線情報)を作成することはできません。直接コードを記述して下さい。↩︎